in the dark†短編†
沸き上がった恐怖に、ぶるっと身震いする。

「あいつらは人の弱みやトラウマに、上手く付け込んでくるんだ。
自分も気付かないような、心の奥の本心を見抜いてくるのさ」

「…本心?」

「本当は逃げたいんだろ?」

「………」

黙り込んだ私の頭をぽんと叩いて、シュウは前を向いた。

「何があったかは知らないけど。後悔してるんなら、言いたいこと口に出して言ってみろよ。
どうなるかなんて、言ってみなきゃわかんないだろ?」

「……うん」

シュウが、ちらっと私を振り返る。

彼は握った手に、軽く力を込めた。

「不安そうな顔してんじゃねーよ。
この暗闇の中、一人で走り出す度胸あんだ。お前なら、大丈夫だよ」




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