in the dark†短編†

事故

シュウに手を引かれて歩きながら、

私はサチのこと、リカのことを話した。

シュウは何も言わず、黙って聞いていた。

「……ミツキは」

不意にシュウが口を開く。

「なんで死にかけてるんだ?」

私は思わず立ち止まった。

「ミツキ?」

シュウが振り返る。

私は俯いたまま、固く目を閉じた。

目を焼く眩しいライト。

「……本当は」

あの時の光景が蘇る。

「本当に死のうとしてたのは、サチだったの」
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