in the dark†短編†
リカは、ぎこちなくパイプ椅子に腰掛けた。

「……体調、どう?」

遠慮がちな小さな声で問い掛け、俯いたまま所在なげにスカートの裾を直す。

「本当は、何度か部屋の前まできたんだけど、……入りづらくて……ごめん」

「……う、うん」

素直に謝られたことが意外で、私はリカを見た。

彼女の少しやつれたような頬が、目を引いた。

「……ねえ、リカ。サチのことだけど……」

ベッドのリクライニングをあげ、話を切り出す。

リカは瞬きして目を潤ませた。

「……私、サチをあそこまで追い詰めるつもりじゃなかった」

ぽろぽろと涙を零し、リカはハンカチに顔を伏せた。
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