in the dark†短編†
「私、こそこそ嘘ついてたサチが許せなかった。
先輩と二人で、私を笑い者にしてるんじゃないかって思ってた」

「…サチはそんなことしないよ」

「………うん、わかってる」

リカが頷いたとき、軽快なノック音が響いて、ドアが横に開いた。

「やほ!ミツキ♪ お見舞いにケーキ………」

サチはリカに気付き、言葉を失って立ち尽くした。

「…………」

沈黙が流れて、気まずい空気が病室を支配する。

「…私、帰るね」

呟くように言って、サチが身体を反転させた瞬間、

「サチっ!!」

リカが立ち上がった。

サチが、背中を向けたまま立ち止まる。

「ごめん。ごめんなさい」

リカが深く頭を下げる。

ゆっくりと振り返った、サチの目に光っていた涙は、

悲しみの色でも


怒りの色でもなくて。


私はほっとして、頬を緩めた。
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