in the dark†短編†
「そう」

重い溜息が漏れる。

「彼、事故で運ばれてきたんだけど、もう一ヶ月植物状態なの。身体はきちんと機能してるんだけどね。呼び掛けには、答えてくれなくて」

「お見舞いしてもいいですか?」

「そうね、知り合いなら。……最近はご家族様も見えてないのよ。話しかけてあげてね」

看護婦さんが私の肩を叩き、松葉杖を指差す。

「ただし計器が繋がれてるから、引っ掛からないように気をつけてよ」

私は頷いて、横開きのドアを開けた。
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