in the dark†短編†
彼は片眉を上げて、私を見下ろした。

「…あー」

困ったように、長めの前髪をかき上げる。

「いや、正確には死にかけな」

「…死にかけ」

ショックで、ふらっと身体が傾いだ。

「おい!」

慌てたように、彼が私の身体を支える。

「大丈夫かよ?」

私は彼の、コートの端を握りしめて尋ねた。

「ねえ、じゃあ貴方は死神?」

答えを待ってじっと見つめる。

彼は戸惑ったように瞳を揺らした。

「…あ、いや。まー…そんなとこか」

「じゃあ私を地獄に連れていくの?」
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