その道のむこうに
向かい風を受けながら、階段を下ればそこは広い公園に出る。
噴水やアスレチック、グラウンドまであるその公園は、今日も人が沢山いる。
「すいませーん、ボールとってもらえないですか?」
高校生だろうか、汗と土で汚れたユニホームに身を包んだ少年が、私の方へ走ってきた。
コロコロと転がる野球のボールをそっと拾いあげる。
フェンス越しの彼に渡した。
「ありがとうございます!」
声を張り上げて頭を下げた。
「いいえ、頑張ってね」