その道のむこうに
恥ずかしげに頭を下げて、チームの輪に戻っていく少年を目で追っていたら、見たことのない道を見つけた。
風邪で重い身体を引きずって、近付けばそこは行き止まりではなさそう。
もう少し先には、駅へ向かう道があって、ケーキ屋はその道の途中にあるからよく通る。
こんな道あったっけ?
最近、自転車かバイトでしか通らないせいか見落としていたみたい。
……苦しい。
身体が悲鳴をあげている。
でも、あの坂道を上って家に帰るのも辛いだろうし。
何より、その先にある風景や空気、雰囲気が気になる。
単なる好奇心だけで、私は未知の世界へ足を踏み入れた。