その道のむこうに
私が拓磨を好きになれない理由はもうひとつある。
それは、私が10歳のとき、両親を失って悲しみに暮れていたある日。
急な夕立に見舞われ、雨宿りをしていると隣に、男性が来て同じように雨宿りをしに来た。
それ以外に、記憶はない。
でも、その人が好きになっていた。
まさに、初恋だよね。
その人を忘れられないから、まだ好きだから拓磨を好きになれないんだと思う。
風邪を引くと、必ずその人を思い出してしまう。
会えたらいいな、なんて願ってしまう。