君と見た夏空
春とは言っても、冷暖房が備えられていない体育館はムシムシと寒い。
「校長の話って長ぁいんだもーん」
クルクルと茶色の長い髪を指に絡めながら、優花は言う。
「どこの学校も同じだよなぁ、きっと」
ケラケラ笑い、レイジは言う。
若干染まった頬が、なんだか微笑ましい。
「えー今から、」
生徒会役員が、ボソボソとした口調で話し始めた。
開いたドアから、春の甘い香りをつけた風が流れ込んでくる。
ふわふわ浮かぶ、羊みたいな雲をぼんやり見つめ、あたしは小さくあくびを零した。