*甘いキスを君に*


そして、フグ騒動から少し経った頃……


今まで無口だった歩奈が口を開いた。


「あのさ、さっきはありがとう。蒼堵のおかげで助かったよ。」


それは、どう言う意味だ?


つまり、俺と隣で良かったってことだよな?

まさか、歩奈は俺のこと……


なんて考えてると、

「あのね、片瀬さん香水キツイから品川くんにも多分染み着いてるでしょ?だからいやだったんだぁ……。気分悪くなるんだよねあの匂い。」


…と、歩奈は言った。


俺の期待は、一気に崩れていった。


「別に……」


俺は、こんな無愛想な返事しか出来なかった。


本当は歩奈から話掛けてくれたことが、嬉しくて仕方がないのに……


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