Shall we ...?
私が更衣室に携帯を忘れてしまった時のことだった。
「おぉ、宇美ちゃん!どしたの?」
「携帯忘れちゃって…」
受け付けのお姉さんにそう言って、更衣室に入った。
「あった。良かったー」
携帯をしっかりと握りしめて、更衣室を出たとき、スタジオから音が聞こえてきて。
どうしても気になって、チラッと覗くと先生と長澤くんが踊っていた。
指先の動きから、角度から、何もかもがそろっていて、言葉では表せないくらい。
あえて言葉で表現するとしたら、すごい。
でも、そんな言葉では表現しきれないんだけど。
引き込まれるって、たぶんこういうことなんだ。
踊り終わったあと、私の後ろから拍手が聞こえて、振り返ると、受付のお姉さんが立っていた。
「ホントうまいよねー。宇美ちゃんもアタシが来たの気付かないくらい見入ってたもんねー?」
「あ、・・・まぁ。」
先生と長澤君と目が合って、少し気まずくて視線をそらしながら会釈してみた。