Shall we ...?
「何かあってからだったら遅いから、今日は送ってもらって?」
さっきまで長澤君のことを冷やかしていた受付のお姉さんがそっと耳元で囁いた。
「あ、はい。」
「ファイト!!」
「え?!」
お姉さんの顔を見ると、嬉しそうに、でも少し悪戯な笑顔で笑っていた。
顔が、余計に熱くなった気がした。
「じゃ、アタシたちはデートだからぁ」
「じゃ、大地頼んだぞ。お疲れさーん」
ヒラヒラと手を振りながら、先生たちはスタジオから出て行った。
あ、付き合ってたんだ。
今更ながら知った事実に少し驚いた。
「帰る?」
「あ、うん。ごめんね・・・?」
最初から送るつもりとは言っていたけど、私がここに戻ってこなかったら真っすぐ家に帰れたわけだから…何だか悪い気がした。
それに、好きでもない女の子を送っていくなんて、面倒に違いないから。
「全然!気にしなくて良いよ。」
ふんわりと笑った笑顔にキュンとした。
スクールを出て、「家、どっち?」の問いかけにハッとした。
「あ、あの・・・私バスだから・・・」
「バスなんだ?じゃあバス停まで送るよ。」
「すぐそこだから、大丈夫です。」
「ちょうど俺の家もあっちだし、行こ?」
ほんの数十メートルだけど、長澤君と一緒に歩いた。