ヴァンパイアと秘め事を
「あ、あたし…もう戻らなきゃ…」
「君は、病弱なんだよね」
「何で知ってるの?」
「小さい時からの君を見てたから。と言っても、それくらいのことしか知らないんだけど」
彼はあたしを知っていた。
ずっと前から…
じゃあ、あたしは?
あたしは彼――ヴァンパイアのことを、何も知らない。
また、会いたい。
そう思った。
すると、「君の名前は?」と聞いてきた。
「…美夜」
「僕はアレン。またおいで、美夜」
あたしは部屋をでた。
最後の笑顔は本物だと、そう信じたいと思いながら。