ヴァンパイアと秘め事を
ギィ…
今ではもう慣れた、重い扉をゆっくりと押す。
夏なのに、部屋の中はひんやりとした空気でいっぱいだった。
「アレン…?」
部屋の奥に行くと、アレンがいた。
あたしに気づいたアレンはワイングラスを軽く持ち上げて「久しぶりだね」と言った。
そのワイングラスには真っ赤な液体が入っていて…
「血…?」
…それはまるで、血のようだった。
その光景に、背筋が凍るような感覚がした。
「…ただの赤ワインだよ」
目を見開くあたしにそう言って、アレンは笑った。
なんだ、赤ワインか…、なんてすぐにはほっとできない。
だって、まだドキドキしてる。
それでも、アレンが笑うから。
あたしはようやく胸をなでおろした。