ヴァンパイアと秘め事を
エドは机の上のグラスを手にとって、赤ワインを口にした。
「私は言ったはずだ」
お互いに目は合わせなかった。
「『余計な感情はいらない』と。前の娘の時も同じだ。だから私が手助けして、お前の中の様々な感情をしまい込むようにしてやったのに…」
「……」
「なぜお前はそれらの感情を内に秘めておくことができない?」
…知らないよ。
そんなこと、僕の方が知りたいくらいだ。
忘れようと努力して、忘れて。
全ての気持ちに区切りをつけて。
それで良しになるならば。
…今、こんな気持ちにはならない。
ただでさえ僕は、欠陥のあるヴァンパイアなのだから。