私の青春捧げます
顔が赤くなるのが自分でもハッキリと分かった。異性に触れられることをどうとも思ったことなどないのに。

《何考えてやがる!!》

心臓がうるさい
顔が熱い
耳元で囁かれた優しい低音
手の感覚が残る

教室には向かわずトイレに走って行った。

『はぁ、はぁ、はぁ』

心臓が痛い。
《タバコ吸ってる奴が走るもんじゃねぇな。》

普段使われることのないこの階には静寂が広がっていた。普段は心地いい静けさが虚しさを感じさせた。

『朝っぱらからトイレに引き籠りかよ、全部アイツのせいだ。』

あの行動の心理はなんだ。
普段の自分ならば無視をして何事もなかったように接することができただろう。
しかし、担任が関わると上手く自分をコントロールできない。

《アイツに関わるのは危険だ。オレが壊れる》



だんだんと冷静になってきた頭でこれからのことを考える。

このまま逃げていたって仕方がない。担任は3年間変わらないのだから。

『気持ちを切り替えねぇと、明日から避けて生活すればいい。』

『取り合えず今日は帰って頭を冷やそう』


SHRの終わりを告げるチャイムが鳴った。
出来るだけ人と会わないように授業が始まってから動くことにした。

コンコン

『!!!!!』

「棚橋 若葉、そこに居るのは分かっている。大人しく出て来い、逃げ場はないぞ。」
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