いつか、桜の下で…
しばらくして、平助は歩けるまで回復した。
「心配かけて、ごめん!」
飯を食っているとき、平助は俺等に頭を下げる。
近藤さんは、頭を上げてくれ。と連呼していた。
「平助もしばらくは頓所待機にする。それでいいな、近藤さん」
「お、おぉ…。そうだな、トシ!」
「香織、平助のことも頼む」
俺は、香織が頷いたのをみて、茶をすする。
「ま、なんにせよっ!生きててよかったぜ」
「何だかんだ言って、新八が一番お前のこと心配してたんだからなぁー?」
「え、しんぱっつぁんがっ?!!」
平助、左之、新八がそう話している間。
ゆっくりと障子が開き、香織が外にでた。
その時の俺は、香織の行動に何の不自然も感じずにただ、茶をすすっていただけだった。
平助が回復してから、一度も笑わない香織のことにも気づかずに―…。