いつか、桜の下で…
「新撰組は、女人禁止ではなかったのですか?」
伊東さんの視線が、香織に向いた。
そして、伊東さんの手が香織に触れようとしたその時。
「女だからと言って、私を甘く見ないでくださいますか」
伊東さんの首筋に香織の抜いた刀が触れようとしていた。
「おや…これは失礼致しました」
そう笑う伊東さんに香織は、冷たい視線を送っていた。
そんな香織を初めて見たから、隊士全員が驚きを隠せないでいる。
「刀を収めてくれないか?」
近藤さんのきつい声が聴こえ、香織は刀を収める。
それから、次の日になっても近藤さんは、伊東さんの話に釘付けになっていた。
俺は、そんな近藤さんに呆れていた。
そして、憂さ晴らしをしようと中庭に向かって歩き出した。
「…………………る………………」
「……?」
中庭に行くと、どこからか歌声が聴こえた。