いつか、桜の下で…




枯れ葉になった桜の木の下に香織がいた。



…香織が歌っていたのか。



そして、俺は今までに聴いたことがない歌だと思った。






歌声は止まり、香織の近くに平助が現れた。




俺は、そんな二人を見て、自分の自室に戻った。






「あれ?土方さんじゃないですかぁ?」





自室に戻る前。


壁を背に総司が立っていた。




「おい、歩いて大丈夫なのか?」




「僕を舐めないでくださいよ、土方さん」



口ではそう言っているが、総司の体は、少し痩せていた。




「寝たきりだったら、体にも毒だからですよ」





空を見上げる総司は、どこか寂しいそうだった。





「そういえば、新撰組はどうなっているんですか?」




総司は、空を見ているまま、そう聞く。





「…お前が心配するようなことには、なってねぇよ」



俺がそういうと、総司は、苦笑いをする。




「僕が使い物にならないなら、直ぐに斬ってくださいね。土方さん」





「…………あぁ。」





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