いつか、桜の下で…



草木さんの会社から出ると、利人君がそこにいた。




「…やぁ」



不安そうに利人君は、笑っていた。


心配、してくれていたのかな…?



「そういえば、平助君も同じように笑ってたよね」




「……っ!」



利人は、凄く驚いている。



「こんなに簡単に思い出せるなんて、思わなかったけどね」





「…そっか。」




また、不安そうな顔をしてる…。




私が思い出したことが、不安なの?




「あのさ、陽菜ちゃん」




なにかを吹っ切るように利人君は、私を呼んだ。



だけど、すぐに話さないで私の返事を待ってくれてる。



「…ねぇ、その話。明日でもいいかな?」




「あー…そうだな。陽菜ちゃんも俺達に話したいことあるだろうし…」




…『俺達』。


利人君は、ちゃんと三浦君のことも考えてくれてるんだ。




「じゃあ、帰ろっか。俺、送ってくし」




「え?
いいよっ!!一人で帰るから!」




私が拒むと利人君は、笑って、



「家、どこ?」



私の手を掴んで走り出した。





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