いつか、桜の下で…
「幸村さんは、俺達から本当に離れたい?」
ふいに、三浦君はそう言った。
離れ、たい?
「そんなこと、ない…っ」
自分でも聞き取りにくいほど震えた声が屋上に響く。
離れたくなくて…。
でも、それ以上に嫌われたくなくて。
だから、嫌われるくらいなら、このまま、二人から逃げたかっただけ。
本当は、もっと一緒にいたい。
また、お昼ご飯を一緒に食べたい。
香織さんは関係なくて、私は。
『幸村陽菜』として、そう思った。
「だったらさ、」
利人君が笑顔で私達の方に歩いてきて、
「そんな辛気臭い顔しないで、楽しもうぜっ!」
自信ありげにそう言う。
私は、そんな利人君を見て、笑っていた。
「そう、だなっ」
三浦君も、必死で笑いを抑えながら、返事をする。