いつか、桜の下で…



「香織…」


時代を超えて、会えた二人。


三浦は、ただそれを見ているだけだった。



「平助君…っ!」


香織と平助は、お互いを確かめるように抱きしめ合う。


二人はしばらく、そのままでいた。


今まで、我慢してきたんだろう。



「…平助君」


静かな声で香織は、平助にそう言った。


そして、平助を見つめた。


「…ん?なに?」



「あなたに伝えたいことがあるの」



そうして、香織は自分の腰あたりにある平助の腕を話し、二、三歩下がる。


香織の目は、真剣だった。


「俺に伝えたいことって、なに?」


「…相談、しないで決断してごめんなさい」


やるせない表情の香織に平助は、にこりと微笑む。


「いいんだ。香織」


優しい声だった。



「利人の中から、聴いてた。俺が無力のせいで香織がそうしなくちゃなんなかったんだよな」


「それは…っ!」



それは違う。

平助は、新撰組や自分の為に頑張っていた。

平助が無力じゃない。

その選択をした私が無力だったんだ。


香織は、そう思った。



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