いつか、桜の下で…
山南さんを憎み、平助は、自分を怨んだ。
香織を護れなかったのは、自分の責任だと。
そして、平助は、悲しみの果てに新撰組を裏切り、油小路の変で、三浦という男に斬られた。
…こんなことになるくらいなら、いっそあの時、言えば良かった。
死に際の平助の頭には、香織に看病された最初で最後のあの日の光景があった。
《全てが終わったら、その時は俺と夫婦になろう。
そして、二人で静かに暮らそう》
それが平助の願い。
誰もが叶えられるはずの願い。
そして、もうこの世にいない香織の願い。
無理だとわかっていても、やり直したい。
何百年先だっていい。
既に平和な未来で生まれ変わり、もう一度香織と逢って。
言えなかったこの願いを叶えたいんだ。