いつか、桜の下で…
「たぁーっっ!」
しがない道場の娘として、わたしは生を受けた。
山の上に出来ていた道場には、習いにくる人も少なく、わたしは、女でありながら、剣術を学んでいた…。
「香織、もう少し腰を引いて」
「はいっ!!!」
基本的に父様は、わたしに稽古を付けてはくれなかった。
それは、父様の中に女人が刀を持つ事を良いと考えてないからだと思う。
だから、稽古はいつもお兄ちゃんがつけてくれていた。
強くて、優しいお兄ちゃん。
わたしは、そんなお兄ちゃんに近付きたかった…。