いつか、桜の下で…



「死ねぇええぇぇ!!!!!!!!」



次の日、私は目の前に広がる赤い色をただ、見ていた。

その赤が鮮やか過ぎて、今でも忘れないほどに。


「香織ッ!!逃げるんだ、お前だけでも!!」


気が付けば、片手に私の腕を引っ張り、片手に鮮やかな赤を付けた刀を持っているお兄ちゃんがいた。


「な、んで…っ!どうゆうことなの!?なんでこうなったのっ!!ねぇ、ねぇお兄ちゃん!!」


私達が逃げることを許さない武士達を切り倒すお兄ちゃんに、必死に問い掛けた。

お兄ちゃんは、人の血を浴びながら、薄く微笑み、「兄さんも、父上も。反幕府派の人間だからだよ」と言う。


反幕府派…お兄ちゃん達が……


「だから、僕等は殺されるべき人間なんだよ。…でもね、香織。君は女だ。だから……」


びしゃ…ッ


そう、鈍い音と共に、飛び散る赤。


瞬間、察した。


この暖かい血は、お兄ちゃんのものだって。


私を引っ張り続けた手が、段々と離れていって、そのままお兄ちゃんは、床に倒れた。


「……に……て……………」



「お、お兄ちゃんッ!!!!?」


最後、お兄ちゃんが言った言葉。


それが、気になった。


けど、それよりも私の前で高笑いする幕府側の人間が許せなくて、許せなくて。


気がついた時には、刀を手にしていた。



お兄ちゃんの仇……ッ!!!!!




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