いつか、桜の下で…
お兄ちゃんみたいに、刀なんかがあるから、死んでしまうひとを無くしたいから。
「…香織」
そう覚悟しても、お兄ちゃんの笑顔を思い出すと、涙が止まらない。
誰よりも、お兄ちゃんが大好きだったから。
「強がんないでいいんだぜ…?」
平助君の声が、近くで聴こえた。
「俺、近くにいるから」
お兄ちゃん以外で、初めて優しくしてくれた人…。
お兄ちゃんとは、違うぬくもりに、心が惹かれていった。
これが、恋なんだと言うことには、まだ、気付かなかった。