いつか、桜の下で…
「久美、もうすぐ授業始まるよ?」
時計の針は止まらず、一分、二分と進んでいく。
「でもぉ…」
久美は、離れたくないのか私の制服を掴んだままだった。
私は、ため息をして久美の手を離す。
「二度と会えないってわけじゃないんだから、ね?」
「…わかった」
しぶしぶ自分の席に戻る久美を見送ると三浦君が口を開いた。
「じゃ、俺も自分の教室戻るね」
「うん」
私は、三浦君に手を振ってから、自分の席に座る。
窓を見ると、空には雲が一つもなかった。