いつか、桜の下で…
携帯の振動がベッドに響く。
その振動で我にかえった陽菜が、急いで携帯を手にとるとサブディスプレイには『久美』と書いてあった。
携帯を開くと、着信画面になっている。
「もしもし?」
『ぁ、陽菜。無事に帰れた?』
「うん。大丈夫だったけど、どうしたの?」
久美から、電話が来ることなんか、珍しくはない。
けれど、何だか今日は久美の雰囲気がおかしかった。
『ほら、陽菜が倒れたときに男子きたじゃない?』
倒れたとき?
そういえば、誰かの声が聴こえたような気がする。
そう思いつつも、声をかけられたのは陽菜が倒れる直前。
だから、陽菜には声を判別することなんか出来なかったのだ。
けれど、男子となれば、思い付くのはただ一人。
「もしかして…三浦君のこと?」
不安気に陽菜はそうきいた。
『うん、そう!』
「それで三浦君がどうしたの?」
『それがね?』
………………………
…………………
………………
……………