いつか、桜の下で…
壱
―…土曜日。
私は、今、図書館にいる。
新撰組の事について知れば、わかるかもしれないから。
「幸村陽菜さん、ですよね?」
新撰組に関しての本を見ていた私の前にいきなり、誰かが立つ。
「そう、ですが…」
とにかく、冷静にならないと…
私は、そう思って、相手の顔をまじまじと見る。
そして、私の目の前に立っているのは、眼鏡をかけ、かっこいいというよりも、美形という言葉がよく似合うような男の人だった。
「やっぱり変わりませんか…」
「…はぁ…?」
『やっぱり』?
やっぱり、ってどうゆうこと?
私が混乱していると、男の人は寂しそうな顔を見せ、
「そう、気になさらないでください。ただの独り言ですから」
優しい声でそう言った。