いつか、桜の下で…




京都についた。


一度も来たことなんかないのにどこか、懐かしい気持ちになれる。



それって、やっぱり。


『香織』のときの記憶が私の中にあるから、だよね。



私は、私の中で疼く何かを感じていた。



それは…

『もうすぐ…もうすぐ』

って、香織が急かしている痛み。





「幸村さん、置いていっちゃうよ?」



立ち止まった私の足を動かしたのは、三浦君の声。


三浦君は、本当に凄い。



『幸村さん』



そう呼ぶだけで私の不安を無くしちゃうんだから。



本当に、凄い人。



「今行くっ!!」



私は、三浦君の後を追った。



2月27日。



今日は、待ち人に出会える日。



同時にそれが、始まりになる。






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