いつか、桜の下で…
参
「ここ」
三浦君に連れて来られたのは、大きな木が集中して植えられているところ。
「ここ?」
私は、戸惑いながら、そう聞いた。
どう考えても、こんなところに人気は無かったから。
それでも、三浦君は頷いた。
「季節はずれの蕾は、花を咲かせることなく、枯れてゆく」
「三浦、君?」
一本の木に寄り添いながら、三浦君はそう呟いた。
また、三浦君じゃない感覚が脳裏を過ぎる。
「新撰組は、その蕾だったらよかったのに。激動に塗れ、狂い咲けばよかったのに」
「…………ねぇ…貴方は、誰なの?」
葉がなにもついていない木の枝をじっと見つめる三浦く…いや、男の人に私は、そう問う。
そうすると、何のためらいもなく、ただ、意地悪な瞳で私を見つめていた。
「焦らないでも、もうすぐ、皆くるから」