いつか、桜の下で…
「お久しぶりですね、土方さん、山南さん、左之さん、新八さん…近藤さん」
三浦君は、名前を呼ぶ度に一歩、二歩と歩みを進める。
「俺には、なしかよっ!」
そう口にしたのは、図書館で三浦君の名前を呼んだ声。
「うん♪ないよ」
三浦君は、黒い笑みでそう答える。
「まぁまぁ、よさないか。二人とも」
今にも喧嘩しそうな二人の仲介に入ったのは、スーツ姿で短髪の男の人だった。
「今日は、特別な日なんだからね」
仲介に入った人は、とても優しそうな眼差しで二人を見る。
まるで、息子を見ているかのような眼差しで。
『……近藤局長…』
私じゃない…香織さんの声が、私の中に響いている。
それは、『陽菜』の存在よりも大きく。
飲み込まれてしまうほどに。