いつか、桜の下で…




「まさか、総司…」



一人、冷たい視線を三浦君に投げ掛ける人がいた。



「さっすが土方さん♪」



三浦君は、そんな事もお構い無しに『土方さん』に近づいた。




何を話しているんだろう…?




二人と私の距離は遠く、二人め小さな声で話していたから、何もわからない。




とにかく、土方さんは表情を少しも変えていなかった。



『鬼の副長・土方歳三』の生まれ変わりなのに。



この人は………いや、ここにいる人達は、そのままの姿で、性格で、それはまるで、150年の時をタイムスリップしてきたみたい。



それほど、似すぎていた。




「もう、帰ろう。幸村さん」




三浦君は、私の手を取る。




「え?いいの?」




まだ、会ったばかりなのに。



「早く帰らないと、幸村さんの友達が心配するかもしれないね」



三浦君は、意地悪だ。



そう言われると私が三浦君についていくって、わかっているから。



「それに…これからは嫌でも会うかもね」


強い風が吹いて、三浦君の声は私には聴こえていなかった。



私は、とにかく近藤さん達にぺこりとお辞儀をして、三浦君についていく。




土方さんは、私がいなくなって暫くしてから、複雑そうな表情を見せている。






< 63 / 162 >

この作品をシェア

pagetop