いつか、桜の下で…
「まさか、総司…」
一人、冷たい視線を三浦君に投げ掛ける人がいた。
「さっすが土方さん♪」
三浦君は、そんな事もお構い無しに『土方さん』に近づいた。
何を話しているんだろう…?
二人と私の距離は遠く、二人め小さな声で話していたから、何もわからない。
とにかく、土方さんは表情を少しも変えていなかった。
『鬼の副長・土方歳三』の生まれ変わりなのに。
この人は………いや、ここにいる人達は、そのままの姿で、性格で、それはまるで、150年の時をタイムスリップしてきたみたい。
それほど、似すぎていた。
「もう、帰ろう。幸村さん」
三浦君は、私の手を取る。
「え?いいの?」
まだ、会ったばかりなのに。
「早く帰らないと、幸村さんの友達が心配するかもしれないね」
三浦君は、意地悪だ。
そう言われると私が三浦君についていくって、わかっているから。
「それに…これからは嫌でも会うかもね」
強い風が吹いて、三浦君の声は私には聴こえていなかった。
私は、とにかく近藤さん達にぺこりとお辞儀をして、三浦君についていく。
土方さんは、私がいなくなって暫くしてから、複雑そうな表情を見せている。