いつか、桜の下で…




「……利人」



険しい表情のまま、爽は陽菜を抱えている。





「三浦。タイムリミットだな」





苦笑する利人の言葉に動揺してか、陽菜を抱える爽の手に力が入っていく。




「…そんなのわかってる」





ドクン………………




ドクン………………





二人の会話が進んでいくにつれて、陽菜の鼓動が大きくなっていった。



「香織が目を覚ますまで、三浦が守るって約束だったし」



「………そうだな」




香織が目を覚ますまで…?



「じゃあな、藤堂」




ドクンッ………




『へい………すけ……』




藤堂の名前が出た途端、香織の自我が大きくなる。


陽菜の魂が体から離れていく。


そんなことを思ってしまうほど、ドクン、ドクンと音をたてて、その時を待ち侘びていた。




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