いつか、桜の下で…



それから、すぐに俺等は、近藤さんを筆頭に道場を出た。




「壬生浪士組、出陣だぁぁあぁぁ」




隊士の声が響くなか、俺はある光景を見たんだ。




それは、平助と香織が話しているところだ。



始め見たときは、普通に話してんだと思ったが、浮き上がっていた隊士の中、平助は、香織を抱きしめた。




…恋仲か。



すぐに俺は気付いたが、別に恋愛までは、とやかく言わない方がいいだろうと思って、見てみぬ振りをした。





香織は強い。



だが、香織は女だ。



人は殺せねぇはずだ。




これをきっかけに香織は、隊を去るだろう。


平助とは、普通の女として過ごすだろう。




俺は、そう思った。


…いや、そうなることを願っていたのかもしれない。







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