いつか、桜の下で…
…俺しか気付いてないんだろう。
平助ならともかく、相手が香織だからな。
「だからどうした」
そう言うと、肩にかかっていた力が抜ける。
「まさか、俺に『別れろ』って命令してほしいのか?」
「そんなことは…っ!」
その時、俺は初めて、香織の焦る声を聴いた。
…そんなに好きなのか。
「ったく、平助のどこがいいんだか」
俺は、苦笑しつつ、香織の持ってきた茶に口をつける。
「…まぁ、安心しろ。口外するつもりはねぇよ」
そう言うと香織は、にこりと笑う。
俺は、それを見てみぬ振りをし、茶をすする。
「ありがとうございます、土方さん」
…
「香織」