いつか、桜の下で…
女が刀を持つには、それなりの理由があるだろうと思った。
「私は…戦う為にこれを持っています」
香織は、腰に下げている刀を強く握った。
「こんな私の力でも、必要としてくれる人がいるなら、その為に…」
「お前は、女としての幸せを望まねぇのか?」
俺の問いに香織は苦笑した。
そして、首を縦に振る。
「戦いが続く限り、私は望みません」
香織は、俺が思うよりも遥か未来を見ていた。
俺は、鼻で笑い
「くだらねぇことを聞いたな」
と言い、湯呑みを香織に渡した。
「いえ」
そう答えて、香織は部屋をでた。