魔王に捧げる物語
ふわりと地に降りた魔王の姿が蜃気楼のように歪む。


それと同時に凄まじい激痛と、吐き気、耳鳴り、頭痛喉の渇きなどが一斉に襲いかかってきた。


確かにこれは地獄のようだ、全てが度を越えている。
死んだほうがマシだと言った意味を、こんなに早く理解するとは思わない。


脳内が焼かれるように熱く、今まで培ってきたものが消えていく。


血液は蒸発するようになくなり、焼けるように熱いのに凍るように冷たい。


内臓が破裂して、
身体中の筋肉や腱が切れ、骨が砕ける。

肉が消えていき、歪みきった視界では、何が起きているのかもう理解できない。



気が狂う、そう思う頃にはもう何もなく闇しかない。



そして、何もかもが沈黙するとき…………。




これが“死”なのか、と思った。


それが自分なのか他人なのかはわからないまま。










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