魔王に捧げる物語





「申し訳ありません。見苦しい姿をお見せいたしました………」



出直したスーはシンプルだが品のある水色のシャツと、脚線美を惜しげなく晒したグレーのパンツ姿で登場した。


彼女は美人だ。


そう……、見なかった事にするべきなのだ。



ミラは目の前の食事に集中しようとするが、余りにも色鮮やかに存在を主張するキノコ達にフォークが動かない。



「…………スーが採ってくれたキノコたち?」



「はい、姫様。地元の主婦達に、叱咤激励を受けながら得た品です」


「大変だったね……」


「はい、心構えと装いからご指導いただきました」


「………」




どうすればいい?


主婦がどれほどの猛者かはわからないが、正直なところ安全確認がしたい。


となりに座るニルは、もはや視線さえそれに向かない。

斜め前に控えるイシュは、興味深いものを見るように釘付けだ。




「姫様、どうぞお召し上がり下さいませ!」





これを…………っ!???


< 109 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop