魔王に捧げる物語
「……………」
深皿にフワフワと浮く水色と黄色の水玉模様のキノコ。
どこからでも来い、と言われている気分だ。
意を決してフォークを刺すと、もっちりとした感触。
チラリと、隣に座るニルを見つめ、閃いた。
「ニル」
「………?」
「あーん……」
一瞬ピクリと眉が動く、
それでも、これといった反応を見せずに、パクりとそれを食べた。
ミラは緊張した面持ちで見守る。
やがて、喉が動いた。
「どう?」
食べた事にも驚きを隠せないが、今はそれはどうでもいい。
問題は、安全性だ。
「………味覚は表現が難しい、」
どっちだっ!!?
イケるのか、イケないのか?
スッと耳元に口を寄せられ、続きが語られた。
「味はわからないけど、安全なキノコだよ」
その言葉に一気に緊張が解れ、スーとイシュを見ると………。
衝撃的な光景を見たかのように、目を見開いたまま固まっている。