魔王に捧げる物語
Ⅷ
寛いだあと、寝室に移動したニルはある質問の答えに迷っていた。
「夢はみるの?」
見る、と答えたところミラは、
「さっきはどんな夢を見たの?」
と、興味があるらしく楽しげに答えたを求めた。
答えたられないことではないが、気持ちのいい話ではないし、楽しい夢でもない。
少し悩んだが、言ってもいい気がした。
それは“自分”が見た夢であり“彼”の見た景色の再現であったから。
彼女がこれをきっかけに、魔王を少しでも理解してくれたなら、大きな収穫だ。
さぁ、どこから語ろうか………?
考えた末、きっとあそこからがいい。
と、ニルは昨夜と変わらずミラと同衾しながら語り出した。