魔王に捧げる物語
「魔王は?どうなったの……?」


死んでしまった彼は……?


「魔王は、いるよ。
新しく生まれ、彼の者と同じく雷を纏い………本性を人とした“魔王ニル”」




!!!!!?



全身が粟立つような衝撃に絶句するミラに、ニルは動じる事もなく、淡々と語る。



「安易に魔王となる事を選択した男こそ、俺の本性となる者」


「ニルは人?彼は……?彼はニル?」



頭に手を当てて考え込むミラの手が掴まれ、強引に意識を戻される。



「わかり易く言うと………、俺は彼の姿を丸ごと乗っ取った。


彼と俺では思考だけでなく、全てが違うと言っていい。

二人は別人だよ」



ほとんど同じなのは姿だけ。
人の姿だけ、それさえ本人と並べばもう別人だ。




比べる事は不可能だけど。



と、自嘲する。






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