魔王に捧げる物語
なんだろう、と考えるが思いつかない。
まさか命を奪うものではないとは思うが………。
「大事なもの?」
首を傾げてニルを見つめると、金緑の瞳が妖しく光った気がした。
「そう、ミラの“初めて”」
「………………??」
何の初めてか考えていると、スッと唇にニルの指が触れて、ゆっくりとなぞられた。
「他の男にあげるつもりなんて最初からないけど、
ミラの処女。
意味わかるでしょ?」
えっ!!?
えぇ………っ!!!?
何を言い出すかと思えば、内容はとんでもない事だ。
わかるでしょ?
じゃない!!
多少鈍感な自分でもその意味くらいわかる。いや、そこまで言われれば誰だってわかるだろう。
ミラは羞恥に全身の血が沸騰するかと思った。
きっと真っ赤な顔になっている……。
恥ずかしいどころじゃない、今すぐどこかに逃げたい。
そんな事言われても、はいそうですかと出来る事じゃないし、もっと雰囲気などあるんじゃないか?