魔王に捧げる物語
なんだろう………あの人とニルが話す姿を見ているともやもやする。
ズキリと胸が痛む。
この間の事でニルを微妙に避けていたが、今は気になって仕方ない。
何を話しているのか、聞こうとしていたところに、突然声がかかった。
「ミラ?隠れてないで出ておいで」
「っ!!?」
バレているなら仕方ない、そう思って柱から離れそっと彼らに近づくと、明らかに不快そうな視線が向けられた。
「あなた……まだいたの?」
どういう意味!!?
少し怖いが、ミラはイリスと目を合わせた。
「………あなたには……関係ない」
「私、庶民と話した事ってあまりないの。接し方に困りますから外してくれないかしら?」
「イリス」
「魔王様のお側にあなたみたいな庶民がいること自体おかしいのよ……、
この間、我が国にいらしたの。
その意味くらい察して下さらない?」
汚いものを見るように厳しい視線を向けられたミラが押し黙る。
我が国にいらした………って何?
この間って?
城を空けていた時のこと……?