魔王に捧げる物語
フッと目が覚めると、先に目覚めていたニルと目があった。
「よく寝た?」
優しく頬を撫で、そのまま髪に手を絡めてクルクルと巻いて遊びながら言われる。
「うん、先に起きてたの?」
「うん、寝顔見てた。気持ちよさそうだったから起こしたくなかった」
起こしてくれればよかったのに、と少し眉を寄せると再び撫でられた。
「機嫌直してよ、イシュとスーディアが待ってる」
「…………あの人も?」
あえて出なかったイリスの事を問うと、ニルはいつも通りに言った。
「夕方前には帰るよ、話したい事があったら言うといい」
と、興味がなさそうだった。
それからニルはだるそうに寝室を出ていき、ミラは先に湯に浸かって身なりを整える。
正直、全身がだるくて腰が特に重かった。
思い出すと恥ずかしくなって慌てて違う事を考えた。