魔王に捧げる物語
「暗い所で、一人ぼっちだったわたしにニルが世界をくれたわ。
大きくて広くて、きれいな………だから、とても好き!」
優しく頭を撫でられながら、満面の笑みでニルを見つめる。
「きらいなんて言わないで……、いつだってやり直せるよ」
「うん。ありがとう………側にいてくれて」
抱きしめられて、そのまま胸に顔を埋めて彼の匂いを肺いっぱいに感じた。
カインに仕組まれた事でも、話してみなければわからない事がわかって満足だ。
幸せなわたしは、この後に起こる事を想像も出来なかった。
こんなに好きだった世界が……………憎くて仕方なかった。