魔王に捧げる物語
「……………」
「ご不安に感じられる事は承知の上です」
「えっ………?」
「ですが、全てはあの方が鍵を握っております」
イシュの瞳は切なげに揺れて、訴えかけるようにミラを見つめる、
「強引であったこと、お詫びのしようもありませんが………来て頂けますか?」
断れるのだろうか?
断ってどうする?
チラリと下げた視線の先、彼の腰には幼い体躯には不釣り合いな剣。
もしかしたら………、
殺されてしまうかもしれない。
怖い…………。
そう思い至ると、答えは決まっていた。
「………はい」
と、
彼は大きな瞳を少し細めて、ご案内致します。と小さく言い、再び彼女の手をとった。