魔王に捧げる物語
カインはミラが消えた部屋で一人ふわりと浮いていた。
彼女が悲しみに暮れ、現実を遠く見ていることを知ってから…………、
放ってはおけずに、強引な手段を選んでしまった。
若い少女が悲しみに人生を無駄にする事はもったいない。
魔王としてではなく、自身が彼女のためを思った。
友が心底愛する少女が時を止める事は好ましくない。
彼女が最後の恋とするには若すぎる、
何より…………、
これが最後ならば、悲しすぎるだろう?
さぁ、舞台は整えた。
賭けの始まりだ。
彼女の物語を自分もよい結末にしたい、万能ではない力だが、出来るだけ力で支援しよう。
恋が全てではないが、愛する奇跡を望むのもいい。
運命という力を信じてみたくなった。
役者を募ろうじゃないか…………。