魔王に捧げる物語
「今のも、さっきのも………あなたが??」
「はい、そうです。自分以外と一緒に城内を飛ぶのは初めてで……ご不快でしたか?」
「だいじょうぶ……」
「それは良かったです」
イシュがふわりと微笑む。
ミラが知らないだけで、いろんな事ができる人達がいるのかもしれない。
そう思いながらも、やはり聞きたい思いを抑えきれなかった。
「あなたは一体……」
何なの………?
その先の言葉を躊躇うミラに気づいたように彼は頷き、
「わたくしは、」
「あの方の眷族。人ではないものです」
ひどく静かに言う、
彼女が首を傾げると、彼が少しだけ近付いた。
「眷族とは、ある種の繋がりのあるものの事です。分かりやすくすると…………親族、のようなものでしょうか」
姿や形は皆、様々ですが。
と、説明してくれた。